こんにちは!ちくです!
サッカー歴30年以上の大ベテランで、日々サッカーの研究をしているサッカー研究家です!
サッカー好きですか?
ボクは大好きです!
今日のテーマは周りを見ることです。
- コーチにいつも顔を上げろと言われる。
- 「周りを見ろ」と言われても結局なにを見ればいいかわからん。
- どうすれば視野が広いプレーヤーになれるか教えて!
意外とこういう人は多いんじゃないでしょうか。
ボクの子どもの頃もそうだったんですが、「顔を上げて周りを見ろ」とコーチたちにしきりに言われました。
「うまい選手はよく首を振っている」と聞きました。
ですが、いつ、なにを見ればいいのか具体的なことを言われたことはなかったんですね。
なにを見ることが大切なのかを知ったのはずっと後のことでした。
もっと早く知っていれば、成長スピードは変わっていたはずです。
皆さんはそうならないように、周りを見ることについて今日ここで詳しく理解してしまいましょう。
それでは始めます。
視野の広い選手になるのにもうひとつの大事なこと、間接視野について書いた記事はこちらです▼
≪一流選手は「間接視野」で見ているから視野が広い!「間接視野」の使い方徹底解説
なぜ周りを見ることが大事なのか?
「顔を上げろ」「周りを見ろ」と言われるが、なぜ周りを見ることが大事なのかを考えていきましょう。
結論から言うと
- サッカーは刻一刻と状況が変わるから
- ミスの8割が「知覚」「判断」から起こるから
この2つです。
順番に見ていきましょう。
サッカーは刻一刻と状況が変わるから
よく言われる、サッカーにおける行動プロセスは
知覚→認知→判断→実行
です。
簡単に言うと
何かを見て(知覚/認識)→それに対してどういう行動をするかを決めて(判断)→最後に実際に行動を起こす(実行)
このようなプロセスをたどります。
つまりこの知覚と認知の部分が「周りを見る」ということです。
要するに周りを見ないことには何も判断できへんということやな。例えるなら目隠しして車を運転するのと同じや。周りの情報が入ってこんと運転はできんで。
状況をしっかりと確認することで、良い判断、良い実行につながります。
当たり前と言えば当たり前ですよね。
大事なのは
サッカーは刻一刻と状況が変わる
これです。
「さっき周りを見たからいいでしょ!」じゃないわけや。要は試合が終わるまで周りの状況を確認し続けることが大切や。
だからコーチたちはずっと「周りを見ろ」「顔を上げろ」と言うんですね。
サッカーではチャンスはそこここに転がっています。
ピンチもそこここに転がっています。
そしてチャンスやピンチは流動的にどんどん、どんどん形を変えていきます。
形を変えるチャンスやピンチを探し続けなくてはいけません。
ですので、周りを見続けることがめちゃくちゃ大事です。
ミスの8割が「知覚」「判断」から起こるから
先ほども見て頂きましたが、サッカーにおける行動プロセスです。
知覚→認知→判断→実行
これですね。
ボクもそうなんですが、何かミスが起こったときに多くの人が注目するのが最後の実行の部分なんじゃないかと思います。
パスミスが起こったときに、「今のキックはよくなかったね」と言ってしまいがちやな。
なぜなら、実行の部分しか目に見えないからですね。
ですが、スペインのある統計では、サッカーで起こるミスは
「実行」が20%
「知覚・判断」が80%
だそうです。
例えばパスミスが起こった場合
- 単純にキックミス→実行のミス
- 逆方向が見えてなかった→知覚のミス
- 見えていたけど間違いを選択した→判断のミス
この中でミスの8割は後の2つの「知覚・判断」から起こっているということです。
つまりしっかりと周りを見てよい判断ができるようになればミスは激減するわけです。
だから周りを見ることは大事なんですね。
ちなみに「知覚・判断」は目には見えず、頭の中をのぞかないとわかりません。
「あっちは見えていた?」「次はどういう判断がいいと思う?」などの質問を投げかけることではじめてわかります。
周りを見るとは「いつ」「何を」見ること?
周りを見ることが大事だとわかったところで、では「いつ」「何を」見ればいいのか基準を考えていきましょう。
まず前提として、
固定されているゴールの位置は要確認
です。
ゴールを見失ってはいけません(笑)。
サッカーの目的地ですからね。
サッカーではプレーしているときに3つのシチュエーションがあります。
- 自分がボールを持っていないとき
- 自分にボールが転がってきているとき
- 自分がボールを持っているとき
これですね。
この3つのシチュエーションが「いつ」に当たります。
それぞれで「なに」を見るべきかが変わります。
順番に見ていきましょう。
自分がボールを持っていないとき
「自分がボールを持っていないとき」とは、自分以外の味方か相手がボールを保持しているときです。
このとき「見る」べき対象は
- 味方
- 相手
- スペース
です。
メッシは歩きながら首を振り続けていますね。(よく走ってないと批判されます。)
あれは「味方」と「相手」と「スペース」の位置を確認しながら、どこにゴールまでの道筋があるのかを見ているわけです。
その絵が描けたときにメッシは急に動き出します。
メッシ以外でも上手い選手は試合中つねに首を振り続けています。
例えば、攻撃のときは
あの「相手」は少し前に出てきてるから、後ろの「スペース」にあの「味方」を走らせればチャンスになるぞ。
のような感じですね。
守備のときは
あの「相手」はこの「スペース」を狙ってきてるな。この「味方」をもっと中に絞らせるのがいいか、ボクがカバーするべきか。
こんな感じで常に「相手」「味方」「スペース」を確認しながら、どのように使おうかを考えています。
だからうまい選手ほどずっと首を振り続けているんです。
自分にボールが転がってきているとき
これはボールを持つ前にボールが自分に向かってくるときです。
味方がパスを出してくれてボールが自分のところに来ているとき、うまい選手は一回首を振ります。
そのときに何を見るのか
「相手」がどこから来ているか
これを見ます。
まずはこれだけを見ればいいです。
相手がどこから自分のところに寄ってきているかがわかれば、ボールを取られる確率はグンと低くなります。
自分が見ていないところから相手が来るからボールを取られてしまいます。
基本的には近づく「相手」だけを見ておけばいいですが、ボクはダイレクトパスを出すときは
パスを出す「味方」が移動していないかを確認する
これをします。
ダイレクトパスを出すときは、ボールが来るまでにすでにどこにパスを出すか決めています。
ですが、ボールが自分のところに来ている間に、パスを出そうと思っていた「味方」が移動してしまっていることがあります。
そうならないために、ボールが来ている間に、ボールを奪いに来る「相手」を見ると同時に、パスを出す「味方」を一瞬確認します。
そうすればパスミスを減らすことができます。
基本的にはボールを取りに来る「相手」だけを見る。ダイレクトパスをする場合だけ、「味方」の位置を確認するというわけや。
自分がボールを持っているとき
最後に自分がボールを持っているときについてです。
自分がボールを持っているときは
自分より優位な状態にいる「味方」
を見ます。
優位な状態とはゴールという目的に向かって自分より優位な人のことを言っています。
例えば
- ゴール前でフリーになっている味方
- サイドのスペースに走り込んでる味方
- 自分が前を向けないときにサポートしてくれる味方
などなどです。
よくあるのが、自分より優位な状態の味方が見つからなかったときです。
そのときは、自分がいちばん優位な状態と言えるので、ドリブルで突っかける選択が最適かもしれません。
以上がサッカーの3つのシチュエーションで見るべきものでした。
いずれにしても見るべきは「味方」「相手」「スペース」3種類の中のどれかと「ボール」と「ゴール」というわけや。
周りが見れる「視野が広い選手」になるためのコツ
では、視野が広い選手になるにはどうすればいいかを考えていきます。
視野が広い選手になるためのコツは
- 普段の生活から周囲の状況を把握するクセをつける
- ボールコントロールの技術を上げる
- 正しい体の向きをマスターする
です。
順番に説明します。
普段の生活から周囲の状況を把握するクセをつける
遠藤保仁選手は小学生のときにコーチから「周りをよく見てプレーしなさい」と言われて、普段の生活から周囲の状況を見るクセをつけようと心がけたそうです。
例えば
公園のブランコが揺れているとします。
普通なら「揺れているな」と思うだけです。
遠藤選手は「右から2番目のブランコが揺れている」と細かいところまで把握していきました。
普段の生活で周囲の状況を把握することをクセづけるうちに、サッカーのフィールド上でも「相手」や「味方」の位置がわかるようになったそうです。
次の段階として、「見なくてもだいたいわかる」ようになって行ったということです。
中村憲剛選手は
小学生の頃、体が小さかったので、相手にガチンコで当たられると分が悪いと自覚していました。
ですので、周囲の状況を早く確認して、相手に当たられる前にパスを出すように意識していました。
そうすることで、判断がどんどんどんどん早くなっていったんですね。
普段から周囲の状況を把握するクセをつけることが「視野の広い選手」になる近道です。
ボールコントロールの技術を上げる
2つ目のコツはボールコントロールの技術を上げることです。
ボールをしっかりと止める技術が上がると顔を上げることができるようになります。
顔が上げられるようになると、相手ディフェンダーは簡単に飛び込めなくなります。
足元にボールをしっかりとコントロールできて、顔が上がっている選手に飛び込むと簡単にかわされることがわかるからです。
メッシやイニエスタが足元にピタっとボールを止めたときに、誰もボールに飛び込んで行けないのを見たらわかりますよね。
ここで重要なポイントは
「止める」技術が上がれば上がるほど、周りを見る余裕が生まれる
こういうことなんですね。
ですので、周りを見る練習ばかり続けても、実は周りを見れるようにはなりません。
ボールをコントロールする技術と周りを見る力の両方が高まることで、無双になるというわけです。
正しい体の向きをマスターする
これは試合中のボールの受け方の部分です。
ペップ・グアルディオラが口を酸っぱくして教えています。
ボールを受けるときは
体を半身にして相手ゴール方向を向く
これが鉄則です。
例えば
このような場面のとき、⑪番のおへその向きが重要です。
ボールを受けるときに⑤番のほうにおへそが向いていると、視野が自分のゴール方向にしか向いていないことになります。
こうなるとコートの後方しか見えていません。
自分が攻める方がまったく見えてない状態です。
そうではなくて、半身になっておへそを左方向へ向けてボールを受ける必要があります。
これですね。
そして、相手ゴールに近い方の足でトラップするのが正しい体の向きです。
なぜこんなことを言うかというと、正しい体の向きを取ることで、攻撃すべき相手のゴール方向すべての視野が確保できるからです。
これはめちゃくちゃ大事なので、ぜひ覚えておいてください。
もちろん相手ディフェンダーが後ろからプレッシャーをかけているときは、後ろを向いたままトラップしたらいいですが、それ以外のときは必ず前を向く努力をしましょう。
- ボールが来ている間に「相手」の位置を見る
- 半身になって、おへそを横に向ける
- 相手ゴールに近い方の足でトラップする
これですね。
これで、あなたも視野の広い選手になれます。
周りが見れるようになるトレーニング
ここでは一人でできるトレーニングとチームでやるトレーニングを紹介します。
一人でできるトレーニング
紹介するトレーニングは
- 壁当てで周りを見る
- フリードリブルで周りを見る
- リフティングで周りを見る
です。
基本の練習に周りを見る要素を取り入れます。
練習自体は非常に簡単ですが、しっかりとポイントを押さえて練習すればすごくよいトレーニングになります。
ここで大事なポイントは
しっかりと周囲の状況を把握する
です。
今日の記事を読んで頂ければわかるように、顔を上げるのには明確な目的があります。
- 自分がボールを持っているとき→優位な味方を見る
- 自分にボールが転がってきている→ボールを取りにくる相手を見る
でしたね。
つまり、ただ漫然と顔を上げてドリブル練習を続けるだけでは、あまり意味がありません。
なにを見るかが非常に重要になります。
では、練習内容を順番に説明します。
壁当てで周りを見る
グラウンドの壁や公園の段差にボールを蹴って、跳ね返ってきたボールを「止める」練習です。
ふつうの壁当てですね。
視野を広げる要素は
- ボールが自分のところに来ている間に首を振る
- 半身になって遠い方の足でトラップする
これですね。
ここでポイントは
相手がボールを取りに来ることを想定して首を振る
これです。
首を振るエクササイズではありません。
「ボールを取りに来る人」を見るトレーニングです。
もし右うしろから誰かが寄ってきているなら、左に止めるなどの工夫をしながら一回一回を丁寧にやりましょう。
誰か手伝ってくれる人がいる場合は後ろに立ってもらって、ボールが来るときにプレッシャーをかけてもらうとより練習になります。
プレッシャーをかける人はムリに取りに行かずに近づくだけで十分です。
フリードリブルで周りを見る
グラウンドや公園で自分で好きにドリブルしながら、周りを見る練習です。
ボールを自分が持っているときに見るのは、自分より優位な状態にいる味方でしたね。
ただ、顔を上げるだけでは周囲の状況を把握していることにはなりません。
ですので、意識してもらいたいのは
周囲になにがあるのかを確認していく
です。
自分なりに緩急をつけるドリブルをしながら
- 「あそこには木があるな」
- 「ブランコが4つある」
- 「外に犬の散歩している人がいる」
などと周りの状況を描写していきます。
最初は少しの情報でかまいませんので、続けていきましょう。
少しずつ多くの情報が頭に入ってくるようになるでしょう。
自然と視線が上がるドリブルができるようになってきます。
リフティングで周りを見る
上のドリブルの練習のリフティング版です。
リフティングをしながら周囲の状況を把握していきましょう。
パターンとしては
- 自分の好きなところでリフティング
- 部位を決めてリフティング
など自分なりに変化をつけてみて下さい。
かなり負荷が高い練習なので、できる範囲から始めたらいいです。
ポイントはドリブルと同じで
しっかりと周囲の状況を確認する
です。
「周囲に木はあるか?」「何本あるか?」「人は通っているか?」などを少しづつ確認していきましょう。
難しい場合は、ワンバウンドさせるリフティングをしながらでもいいです。
チームでやるトレーニング
ではチームでやるトレーニングを紹介します。
ここで紹介するトレーニングは3つです。
- グリッド内でスペースにダッシュ
- ドリブル競争
- 3人目を呼んでパス回し
です。
順番に説明します。
グリッド内でスペースにダッシュ
グリッドの中に数人が入り、ジョギングしながらコーチの合図でダッシュをする練習です。
グリッドとは四角の枠ですね。
コーチはグリッドの外に立ち、選手に合図を送ります。
コーチがグリッドの周りを移動すると難易度は上がります。
手順は
- 20メートルのグリッドに5~6人が入る(グリッドの大きさ、人数は調整しましょう)
- 自由にジョギングする
- コーチが手を挙げたら、5メートルダッシュ
- ①~③を繰り返す
です。
ポイントは
コーチの合図を見て、スペースを見つけて走る
これですね。
しっかりとスペースを見つけないと、ぶつかってしまいます。
最初はゆっくりやりましょう。
コーチが手を挙げたらいちど立ち止まって、周りをよく見てスペースを見つけてから5メートルダッシュをします。
そして、必ず自分の目でコーチの合図を見ることです。
周りの雰囲気で走り出す練習ではありません。
次のステップとしてボールを持ってフリードリブルしながらやるのもオススメです。
ドリブル競争
これは1つのコーンかマーカーを置いて、2人でドリブルして回ってくる競争です。
1つのコーンやマーカーを回るときに相手を見る駆け引きが生まれます。
手順は
- コーンかマーカーを1つ置く
- 2人でドリブルして回って戻ってくる
- どちらが早いか競争する
です。
コーンが1つしかないので、回るところで相手を見ながらドリブルをする必要があります。
次の対戦は勝った者同士、負けた者同士をお互いに探して行っていきます。
3人目を呼んでパス回し
これはグリッドの中に入って、パス回しを行う練習です。
パスを出すときに「次に出す人の名前」を呼んで指定して、回していきます。
手順は
- 20メートルのグリッドに5~6人が入る(グリッドの大きさ、人数は調整しましょう)
- パスの出し手は次の受け手の名前を呼んでパスを出す
- ①~②を繰り返す
です。
例えば
ボール保持者の「A」が「B」に向かってパスを出すときに「C」と言って出します。
「B」は「C」にパスを出さなくてはいけません。
そして、「B」が「C」にパスを出すときに「D」と言ってパスを出します。
これを繰り返します。
「A」「B」「C」「D」には名前が入ります。
慣れるまではゆっくりやればいいです。
ボールを2つにしたり、タッチ数を制限するアレンジができます。
以上が周りを見る練習紹介です。
まとめ:視野が広いのはいい選手の条件
まとめ行きましょう。
今日のテーマは周りを見ることでした。
今日の記事で
- 周りを見るのがなぜ大事なのか?
- 周りを見るとは「いつ」「何を」見ることなのか?
- 周りが見れる選手になるためのコツ
- 周りが見れるようになるトレーニング
を解説してきました。
周りを見ることがどれだけ大事で、「いつ」「何を」見ればいいかが理解できたら、明日からの練習が変わってきますよね。
よく首を振っていて周りを見る選手はいい選手である可能性が高いです。
でもそれだけではダメで、なにを見ているかが非常に大事になります。
しっかりと見るべきものを見るべきときに見られるようになればあなたはいい選手になれます。
もちろんその後の判断と実行も大事ですが、まずは「知覚・認知」を磨けばどんどん判断は早くなってきます。
ぜひあきらめずにトレーニングに取り組んでください。
知ってるだけであなたは一歩も二歩もリードしています。
楽しんで続けていきましょう。
以上、長くなりましたので今日はこの辺で終わります。
わからないことがあれば、お問い合わせフォームやX(Twitter)で直接聞いていただければお答えします。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
少しでも皆様のサッカーライフが充実して、よりサッカーを好きになってくれたら嬉しいです。
サッカーさいこー
ブログさいこー
おしまい。