こんにちは!ちくです!
サッカー歴30年以上の大ベテランで、日々サッカーの研究をしているサッカー研究家です!
今日のテーマは正対理論についてです。
皆さん正対理論というのはご存知ですか?
「聞いたことあるかな?」という人もいるかもしれませんが、おそらく知らない人も多いかと思います。
今日の記事は
- パスを相手に読まれてしまう
- ドリブルで簡単に取られる
- よくサイドに追い込まれてどうしようもなくなる
こういうことで悩んでいる人にぜひ読んで頂きたいです。
今日説明する正対理論をマスターすることによって、上のような悩みが解決します。
簡単にボールを取られることもなくなるし、パスも読まれなくなります。
それではやっていきましょう。
正対理論とは?
正対理論という言葉は最近ちょくちょく聞くようになりましたが、実は前から実践している人はいました。
有名なのがFCバルセロナで活躍した、メッシ、イニエスタ、シャビなどボールをあまり取られない選手たちです。
正対理論とは
ボールを持っている選手が、近くの敵に対しておへそを向けて正面に立つことで、左右のどちらでもパスもしくはドリブルができること
です。
おへそを向けて正面に立つこと=正対
と言っています。
どういうことかと言うと
よくあるビルドアップのシーンです。
赤の⑪番は敵のFWで前線からプレスをかけてきます。
このときに④番はへその向きを敵⑪番の方向へ向ける(正対する)ことで、パスコースが⑦番と②番、両方向の2つできるということです。
逆に
赤の⑪番が近くにいることで、④番が左のスペースに逃げようと左方向へおへそを向けてボールコントロールするとします。
すると⑪番は④番に対してコースを限定しながら距離を詰めてきます。
④番のおへそは左をむいているので、パスコースは⑦番しかありません。
もし⑦番へパスを出せたとしても敵チームに読まれているので、取られる可能性が非常に高いです。
こんなふうにならへんように、選択肢を常に2つ持つのが正対理論というわけや。相手に2択をせまれるわけやで。
「正対」することのメリット
では正対することのメリットについて考えていきましょう。
正対することのメリットは3つあります。
- 常に選択肢を2つ持てる
- ボールを簡単に取られなくなる
- 相手のマークを無効化する
です。
順番に見ていきましょう。
常に選択肢を2つ持てる
先ほど解説したように、相手に正対すると左右のどちらの選択肢も持てるようになります。
そしてこれは
- パス
- ドリブル
のそれぞれ両方で、2つずつ選択肢を持つことができるようになるということです。
パス
まずパスについて考えましょう。
サッカーでは三角形をつくるのが大事だとよく言われます。
これはパスの受け手が三角形をつくるようにフォローすることで、パスコースが2つできボールを保持しやすくなるからです。
このような場面です。
ですが、このときに相手に正対をしていないと、味方がせっかく三角形をつくってフォローしても自らコースを少なくしてしまうことになります。
常に2つの選択肢を持つためには相手に正対する必要があります。
ドリブル
ドリブルも一緒で相手と正対することで、左右のどちらに進む選択肢も選ぶことができます。
上の図のように、敵⑤番に対してまっすぐに正対したまま仕掛けると左右両方のスペースが使えます。
カットインも縦への突破もどちらでも選択できるわけです。
逆に
上のように、左のスペースに自らボールを運んでしまうと、相手は少しずつ追い込むことができます。
結局、左方向にしか進むことができなくなり、囲まれてボールを奪われてしまいます。
ボールを簡単に取られなくなる
続いて2つ目のメリットはボールを簡単に奪われなくなることです。
自分がディフェンスをしているときのことをイメージしてください。
「いつでも蹴り出せる」or「ドリブルできる」位置にボールを持って、正対して顔を上げてる
こんな選手がいたら無闇に飛び込めないですよね。
もし、飛び込んだとしてもどちらかに簡単にかわされるのが落ちです。
相手に正対してボールをピタっと止めることができるようになれば、簡単にボールを取られることはありません。
イニエスタやシャビがボールを取られないのはこのためです。
相手が飛び込んでこれへんとわかるとめちゃくちゃ余裕が生まれるで。
その瞬間に味方選手が相手の背後へ飛び出したら、スルーパスを出せるようにもなるで。
相手のマークを無効化する
最後に、ボールを持っている人をマークするディフェンスの立場になって考えてみましょう。
ボールを持っている人への守備は
- ボールを奪う
- コースを限定する
このどちらかをしたいです。
もちろんボールを持たれている位置によって少し優先順位は変わりますが、基本的には上のどちらかをしたいですよね。
先ほども言ったように、正対してピタっと止められるとボールを奪うことは困難になります。
コースを限定しようとしても、相手は正面から向かってくるのでなかなかどちらかを限定することはできません。
結果、マークする相手の「ボールを奪うこと」も「コースを限定すること」もできず無効化してしまいます。
相手に「正対すること」はこれほどメリットがあります。
「正対」できないときはどうするか?
正対するためには基本的に相手ゴール方向へ向かってボールを止める必要があります。
ですが、敵ディフェンダーの位置によってはもちろん正対できないときもあります。
その時はムリに正対する必要はありません。
例えば
上の図のように、②番が赤④番にマークされている場合、ボールが②番に来たとき、前を向けるなら前を向いて赤④番に「正対」すればいいです。
しかし、赤④番のプレスがきつく②番が前を向けない場合は、そのままトラップできるところに止めればいいです。
後方に止めてもかまいません。
仮に赤④番がボールを取りに突っ込んで来れば、体を反転させて前を向いてかわすこともできるかもしれません。
ポイントは
相手ディフェンダーの出かたに合わせて、判断を変える
これですね。
このような柔軟な思考を持ってプレーするようにしましょう。
ボールをコントロールするときの優先順位について詳しく書いた記事はこちらです▼
これを読むとファーストタッチで迷わなくなります。
≪ファーストタッチが苦手な人必見!究極のコントロールオリエンタードを徹底解説
「正対」を使ってドリブルをする選手の特徴
正対を使うとスルスルと相手をかわしていくドリブルができるようになります。
ここでは正対ドリブルの代表格
- メッシ
- イニエスタ
のドリブルの特徴について見ていきましょう。
メッシ
メッシのドリブルを研究していると、メッシは派手なフェイントなど使わずとも何人もいとも簡単に抜いていくのがわかります。
メッシのドリブルのすごいところはどこでしょうか?
まず挙げられるのが
- スピード
- タッチの細かさ
の2つです。
メッシのドリブルの特徴として、「走る速さとほぼ変わらないんじゃないか」というほどのドリブルのスピード感があります。
そして、そのスピードにもかかわらず足からボールが離れないタッチの細かさです。
そして、もう一つ。そうです。
今日のテーマである
正対
これですね。
メッシはボールを持つと、自分の前にスペースがあるときはすぐに近くのディフェンダーに向かってドリブルを仕掛けていきます。
ほぼトップスピードで相手ディフェンダーに正対して突っ込んでいきます。
なぜこんなことをするのかと言うとメリットが2つあります。
- 目の前の敵を抜くと数的優位になる
- 敵が2~3人寄ってくると数的優位になる
この2つですね。
メッシは一人で2~3人と引き付けられるから得点だけでなく、アシストもめちゃくちゃ多いんですね。
話を戻します。
正対して突っ込んで来られると、ディフェンダーができることは2つしかなくなります。
- 下がるか
- 取りに行くか
です。
ですが、ディフェンダーは半身になって下がったとしても、すでにトップスピードに乗りつつあるメッシにはついていけません。
逆に、ボールを奪いに不用意に足を出すと簡単にかわされて終わりです。
まさに八方ふさがりです。
そして、ひとりをかわすと次のディフェンダーにも同じように正対していきます。
敵と敵の間をかわすこともありますが、基本的に相手に正対して一人ひとりをかわしていくのが、メッシのドリブルです。
映像で確認してみましょう。
相手に正対して突っ込んで行って次々とかわしていくのがわかります。
では、メッシにしかできないかというと正対ドリブルに関してはそうではありません。
イニエスタ
イニエスタも「正対」が非常にうまい選手のひとりです。
イニエスタはメッシほどのドリブルスピードはありません。
ですが、特徴として
非常にタッチが細かい
これが上げられます。
イニエスタはボールを止めて相手と「正対」したときに、それほどスピードを上げずにスルスルと近づいていきます。
かなり近い間合いに入って相手が足を出したところを、伝家の宝刀ダブルタッチか右足のアウトサイドでのカットインで抜いてしまいます。
ダブルタッチであれほど簡単に抜けるのは、正対をうまく使っているのと、ダブルタッチの幅が非常に広いからです。
まとめると
細かいボールタッチで「正対」しながら相手の間合いに侵入し、相手に足を出させて幅の広いダブルタッチでかわす
これがイニエスタのドリブルです。
映像で観てみましょう。
イニエスタの巧みなボールコントロールがあってこその技ですが、正対をうまく使えるようになれば、真似できなくはないです。
ぜひ使えるように練習してみて下さい。
「正対」の練習方法
基本的に「正対」は試合などで意識することでできるようになります。
いちばんの練習は試合でどんどん試していくことです。
とはいえ、慣れるまでは難しいと思うので、できるようになるステップを練習でやっていきましょう。
今日ボクが提案する練習は
- 対面パス
- 対面パスで前を向く練習
- 対面パスから1対1
これらです。
順番に見ていきましょう。
対面パス
まず第一ステップとして、ボールをピタっと止める練習をしてほしいです。
なぜかと言うと、「正対」をして相手の動きを止めるには
自分がすぐにボールを動かせるところにピタっと止める
これがいちばん効果的だからです。
これができると敵は簡単に飛び込んでこれなくなるし、もし飛び込んできてもかわすことができます。
ですので、練習としては
- 5メートルぐらい離れて対面で立つ
- インサイドでゴロで相手に蹴る
- インサイドでピタっと止める
- ①~③の繰り返し
です。
めちゃくちゃ基礎の練習ですが、これができるとできないでは天と地ほど差があると思っています。
丁寧にピタっと止める練習をしてください。
対面パスで前を向く練習
さて、次のステップです。
「正対」するには前方にピタっとトラップするのが大事だと言いました。
ですので、対面パスで半身になって前を向くトラップを練習しましょう。
やり方は同じですが、ボールが来たときに
右か左の方向におへそを向けて、半身になって遠いほうの足でピタっと止める
これですね。
いわゆる、ボールコントロールオリエンタードの練習です。
前を向く練習なので、相手を想定してやりましょう。
対面パスから1対1
最後のステップです。
この練習は
- 対面パスの要領でインサイドキックでゴロでパスを出す
- 受け手は相手に「正対」できるようにピタっと止める
- パスの出し手がディフェンス役になり、受け手にプレスをかける
- プレスをかけてきた相手を左右どちらかにかわす
- 交代して①~④を行う
です。
簡単に言うと、パスを出した方がディフェンスをする1対1です。
ポイントは
パスの受け手はピタっと止めて「正対」する
これです。
いつでもボールを動かせるところにピタっと止めて正対すると、どれだけ次が動きやすいかを実感してください。
このとき、相手をかわすのにダブルタッチやシザースを入れると非常にいい練習になります。
以上の練習で「正対」が得意になるでしょう。
まとめ:「正対」を使って取られない選手になろう
まとめ行きましょう。
今日のテーマは「正対理論」でした。
「正対理論」とは
ボールを持っている選手が、近くの敵に対しておへそを向けて正面に立つことで、左右のどちらでもパスもしくはドリブルができること
です。
要はボールを持ったときに近くの敵におへそを向けて立つということです。
ボールをもったときに相手におへそを向けて「正対」するだけで、
- 常に選択肢を2つ持てる
- ボールを簡単に取られなくなる
- 相手のマークを無効化する
という3つのメリットを得ることができます。
「正対」すると敵の左右の両方の選択肢を使えるので、相手はコースを限定することもできなくなり、マークを無効化することができます。
めちゃくちゃパスも出しやすくなるし、相手をかわしやすくなるわけです。
正対理論とちょっとかっこよく言っていますが、一流の選手、特にドリブルでスイスイ抜いていくような選手やボールをあまり取られない選手は昔から実践しています(笑)。
メッシやイニエスタのドリブルの特徴を説明して、正対のすごさをわかってもらいました。
「正対」することは試合で意識していればすぐにできるようになります。
ピタっとすぐに蹴り出せるところに止めることができれば、相手は容易に突っ込んでこれなくなります。
余裕が生まれて簡単には取られなくなるのです。
やれば絶対にどんどんうまくなりますので、たくさん練習してぜひ使いこなしてください。
以上、長くなりましたので今日はこの辺で終わります。
わからないことがあれば、お問い合わせフォームやX(Twitter)で直接聞いていただければお答えします。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
少しでも皆様のサッカーライフが充実して、よりサッカーを好きになってくれたら嬉しいです。
サッカーさいこー
ブログさいこー
おしまい。